VOICE
Cast真夜中、コンビニの駐車場で。[やまぐち・ほんだ]
InterviwerMechikuro
EditZATSUDAN INC.
Date2022.12.04
ポッドキャストを選んだ理由はあまりバズらないから
───早速ですが、お二人の番組がどのようなポッドキャストなのか、お伺いしてもいいですか?
ほんだ『ドキュメント72時間』というさまざまな場所に3日間密着するNHKのテレビ番組があるのですが、僕らはその番組から感じたこと、考えたことを語り合うポッドキャストを配信してます。
───TV番組の感想を語って毎週アップする…というシンプルな構造にもかかわらず、5日間でこれまで配信されてきた全話を一気に聴いてしまうほど魅力的だったのですが、そもそもこのポッドキャストを始めた理由はどのようなものだったのでしょうか?
ほんだもともと僕らは、よくオンライン上でドラマや映画などのコンテンツについて語りあっていました。そこであるとき僕が『ドキュメント72時間』が好きだと発言した際に、やまぐちさんも毎週録画してまで観ていることがわかり、思いのほか盛り上がってしまったんです。それが始まりですね。
やまぐちもう一つの理由は”誰もやってなかった”からです。ポッドキャストを始める前に、SpotifyやApple podcastで『ドキュメント72時間』と検索したところゼロヒットで……そんなことあるかと(笑)。この2022年において広告宣伝やSEO対策もせずに一番になれるなんて、そんなイージーな話はやるしかないと思い、本田さんに声をかけ、始めました。
───たしかに”音声ブーム”だと騒がれ始めた当初はプラットフォームをハッキングしやすい状況にありましたが、このムーブメントの中で、すでに本屋でいうところの”棚”は埋まり、平積み競争になっている現状においては検索してもヒットしない状況は珍しいですね。そのチャンスを逃さない賢さを感じる一方で、もう一つの疑問が浮かび上がります。なぜYoutubeなどの選択肢があるなかで、ポッドキャストでの発信を選び、そしてブレずに続けられているのですか?
ほんだ『ドキュメント72時間』自体がほぼ毎週のように放送されていて、その放送回について感想をしゃべるというフォーマットなので、 約一年半、淡々とマラソンのように続けてこられました。このスタイルが僕らの中で確立されているので、他の人の反応は本当に意識してないですね。
やまぐちポッドキャストを選んだ理由はあまりバズらないからですね。YouTubeは1つの動画に対して再生数が何百万、何十万という形で可視化されている。一方で、多くのポッドキャストはそれが可視化されないし、コメントもつけられない。つまり、自分たちの発信に対する視聴者からのフィードバックがいい意味でないんですよ。それが僕らが変わらずにやってこられた理由かもしれないですね。
音声メディアは”答え”ではなくブレストだけでいい
───この作品では、やまぐちさんの仮説に対して、ほんださんが安易に同調せず異なる持論を重ねるシーンが印象的です。共感ベースの会話だとすれば、そのスタンスには両者の感情を分断する可能性がありますよね。その話し方は意識的にやられているのですか?
ほんだフラットに互いの意見を持ち合いながら一緒に考えるというスタンスを日頃から心がけているからですね。瞬間的に肯定したり、否定したりするよりも、その方が別次元の気づきを得られることが多いので…。だからポッドキャストでもおっしゃるような印象を醸し出しているのだと思います。
───お二人による、仮説や持論を用いてキャッチボールする手法には、まるで、本が出来上がる前のブレストや編集会議を聴いているかのような心地良さを覚えるのですが、会話の中であえて”答え”を求めない姿勢には意図がありますか?
やまぐち”過程”をみせるのが音声メディアだと思っているからですね。ラジオを例に取っても「眠れないんです。どうすればいいんですか?」というお便りに対して、「では睡眠薬をどうぞ。」とはならないですよね。実際に処方できませんし。だからこそ、音声メディアは”答え”ではなくブレストだけでいい。という割り切りが僕の中にはあるのかもしれません。
※テキストによるダイジェストは以上となります
視覚から解放された彼らは、馴れ合わず…繋がらず…知的好奇心に溢れ…とびきり自由な”声”のアーカイブを残し始めています。
そんな世代からまた1組、瑞々しい才能に出会うことが叶いました。
雑談が惚れ込んだポッドキャスターによる、端正に磨き込まれた”声”。急角度な質問にも鋭く応答してみせる両者の魅力がたっぷりと詰まったロングインタビュー本編は、以下から是非ご堪能ください。
(Mechikuro)